プロジェクト
ムサビ生が書く!長浜滞在記 WEEK 4 〜保田一晴〜

ついにムサビX長浜市 産学連携プロジェクト「空き家再生のナラティブ」は大詰めを迎えております!泣いても笑ってもあと1週間!来週の今頃には憑き物が落ちたような顔で旨い酒を煽っているでしょうか…。今みんなはリサーチを終え、ゴリゴリに展示物を制作しています。これからの100年に活かされるように、家財道具をリデザインしています。そんな大詰め4番手はボウちゃんこと保田一晴(ボウダイッセイ)!よろしくおねがいしまーす!!石井
長浜のみなさんこんにちは!武蔵野美術大学から来ました保田一晴です。長浜滞在記WEEK4を担当します。なぜ僕が長浜に来たのか、何を長浜で感じているのかを今回のプロジェクトと絡めながらお話できればなと思っています。
私がプロジェクトで長浜の地を選んだ理由はナラティブデザインという言葉に強く惹かれたからです。一見しただけでは分からない物語を掘り起こし、それを目に見える形に変えて未来につなげていくという一連のプロセスを魅力に感じたのです。現状空き家では価値ある家財道具がただ捨てられており、ナラティブを使ってそれを伝え残していきたいと思いました。しかしこのナラティブというものはとても難しく、数週間経った今でも果たして僕は正しくそれを使えているのかと疑問に思ってしまったりもします笑。
さて早いもので長浜に来てから3週間以上が経過しました。
長浜に来てから僕がナラティブと同じく難しいと感じたのは時間の使い方です。今回のプロジェクトでは決められた予定は少なく、多くの「自由時間」があります。この「自由時間」というものは非常に厄介なものなのです。何をするのも全て自分達次第で、ぼーっとしているとあっという間に過ぎ去ってしまうこの時間をどう扱っていけばいいのだろうかと。初めはみなプロジェクトルームに居座りウンウンと唸りどんどんと思考の沼にハマっていきました。僕自身も最終成果物を良くするためにはこの時間は考え続けなければいけない!と思っていてある意味「自由時間」というものに縛られていたといえたのかもしれません。
最近になってようやくこの「自由時間」というものをうまく扱えるようになったように感じます。これは時間に対する解像度が上がってきていると言い換えられるかもしれません。吉田邸で同居人とゆるっと過ごす時間、議論で白熱する時間、資料から新しい発見をして興奮する時間、某ラーメン屋で麺を啜る時間、一言に自由時間と言ってもそれには様々な時間があり、それぞれの時間ごとに異なる価値があります。決してプロジェクトルームで考え込む時間だけがより良いものを作ることにつながるという訳ではないのです。
あと1週間ほどで最終発表を迎えるにあたり僕には今まで過ごした「自由時間」がどんどんと収束していっているように感じます。一つ一つの散り散りに存在している時間からどれを選び取り、どう並べていくのか。一見何の関係性もないような時間の流れが結びつくことでそこに新たな価値が生まれることもあります。僕が長浜で過ごした「自由時間」が長浜に住む人や町、吉田邸に眠る家財道具の物語と交差していく。それこそが僕が長浜にきてやるべきことなのではないかなと思います。