プロジェクト

ムサビ生が書く!長浜滞在記 WEEK 5 〜北村凪〜

さぁ、5週に渡るムサビ生たちの長浜滞在記も今週がラストです!昨日13日は大学の最終発表日。80名が13チームに分かれて全国に散らばり、それぞれが濃厚プロジェクトをしてきた様子がプレゼンされていました。なんとまだ現地にいるチームはこの長浜だけでした(笑)最後を締めくくるのは、冷静沈着、集中力のカタマリ!北村凪さん(写真中央)です!どうぞ!! 石井

 


 

 

はじめまして。武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科3年の北村凪です。9月半ばから1ヶ月間4人のメンバーと共に、プロジェクトの一貫で長浜に暮らしています。長浜滞在記、最終回を担当します。どうぞよろしくお願いします。

 

わたしが数あるプロジェクトの中から、「滋賀長浜市空き家再生のナラティブデザインプロジェクト」を選んだ理由は、ものや人を結びつける「繋ぎ役」になれると思ったからだ。高校生のときに、全てのものにはそれ自体を支える背景が存在することに気づいた。それ以来、自分自身がその役割を担う存在になりたいと思うようになった。今回自分たちを基点に、ものと人、人と人とを放射状に繋いでいくことができるのではないかと思い、選択した。

 

 

今週は、盛りだくさんな週だった。今日から始まる展示のために、とにかく頭と手を動かし続ける毎日で、朝から晩まで、何度も印刷をしてみたり、スケッチをしたり、家具のデザインを改良したり…。もうこの一週間は具体的に何をしたか覚えていないくらい。展示がより良いものになるように、ああでもないこうでもないと繰り返していたら、いつの間に深夜だったなんて日が続いた。

 

そんな中で、急遽曳山祭りの山車の入れ替え作業のお手伝いを、女性であるわたしができることになった。まさか自分が、400年も続く曳山祭りの歴史を変える存在になるとは思ってもみなかった。わたしたちが引く山車を見ている人が大勢いた。そこで山車をひきながら、文化や町に入り込むというより、のめり込んで自分の身体と一体化する感覚になった。大きな祭りに参加すること自体が初めてで緊張したけど、一生覚えておきたい貴重な体験ができたことにとても感動した。

 

 

長浜で過ごして、1ヶ月経った。つい一週間前の夜は、あまったるい金木犀のにおいがわたしの周りをついてまわっていたのに、2、3日前から突然冬らしい火を焚くにおいにかわった。実際にこの目で見たことのない金木犀は小さく愛らしい、でもはっきり強い生き物なんだろうなとか、金木犀は焚き火に追い抜かれてしまったんだろうなとか、言語化する必要のないわたしの頭の中で留めておいていいようなことをたくさん想像した。ここに来てから、常に感じて、想像をしている。町に吹く風の厚みや空の色、月のいる高さ、夜のあおい静けさ、ぱちっとかがやく星々…。毎日変わる色やにおいや音、それらが含む空気にものすごく敏感になった。東京にいる時も、自分はそれらに対して敏感な方だとは思っていたけど、ここでは、感じていると気づく前に、感じているようだった。そのあたらしい感覚はとても心地よく、きっとこれは、これからのわたしをつくっていく大事な感覚になるとおもう、そんな気がした。

 

3日後の今頃、わたしは東京にいる。今すぐにでも家にあつまるもふもふな猫たちをなでくりまわしたいとおもう気持ちがほとんどだけど、電車が1時間に一本しかなく、一番近いコンビニは歩いて30分かかるみたいな生活から、全くなんにも不便のない生活に戻るのはほんの少しだけさみしい。そんな風に思ってしまうくらい、わたしはここで吸い込んだやさしい空気がとても好きなった。

 

最後に、わたしたち5人の1ヶ月の集大成が、10/22(土)まで展示されます。ぜひ展示を見に、長浜カイコーまでお越しいただけたらとてもうれしいです。

 

長浜の皆さま、カイコースタッフの皆さま、リサーチでご協力していただいた方々、1ヶ月間本当にありがとうございました!!感謝の気もちでいっぱいです!

また会いに来ます〜